メールマガジン2023/MARCH

コーヒーボーイ メンバーズの皆様へ

コーヒーボーイ・メールマガジンでは、ショップ情報のほかコーヒーにまつわるトピックスをお届けしています。 今月はスタッフお気に入りのコーヒーカップのご紹介とコーヒー豆に欠かせない精製のお話です。

3月のおすすめ豆

3月にご紹介するビーンズは、大粒で爽やかなハニーコーヒー「エルサルバドル・レッドハニー」です。 ロマ・ラ・グロリア農園があるのは、エルサルバドルのサンサルバドル火山の近くです。 火山性でありながら砂質が多い土壌のため保水性を高めるために農園内にいくつもの雨水を溜めるための堀があり、 またシェードツリーには多種多様な鳥類が生息し生態系を築いています。 このような豊かな生態系は土壌にも影響を与えて、ミネラル豊富なコーヒーチェリーを育てます。 今回のコーヒー豆は大粒のパカマラ種です。 中〜浅く焙煎することでそのフレーバーはストーンフルーツ、ザクロ、プラム、レッドアップル、といろんな表情をみせます。 軽やかで爽やかなハニーコーヒーを春先の気持ち良い空気とともにぜひどうぞ。 〈エルサルバドル・レッドハニー〉 プロダクトナンバー:No.734 生産国: 7 エルサルバドル 焙煎度 :3 ミディアムロースト   濃厚感: 4 スムースな 生産地: エルサルバドル・ケサルテペケ・エルポケロン / ラ・グロリア農園 精製方法 :レッドハニープロセス 価格: 1,080円(税込)100g プロダクトナンバーとは? コーヒーボーイでは豆の特性を3ケタの数字で表しています。 お気に入りの豆のナンバーをチェックすると、あなたのお好みがわかりますよ! 000  100のケタは原産国を表しています。 000  10のケタは焙煎の深さを表しています。 000  1のケタは濃厚感の強さを表しています。
詳細はこちら→コーヒーボーイのプロダクトナンバー

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私のコーヒーカップ
新下関店・松尾 しのぶ

5年くらい前から陶芸作家ものの器に惹かれ始め、マグカップも作家ものを少しずつ集めるようになりました。 今回はお気に入りをひとつに絞れなくて(笑)、コレクションの中で登場回数の多い「一軍の子たち」をご紹介します。 いちばん付き合いの古いのが「白水工房」(宮崎県)瀧本徳郎さんのカップです。 *画像左から3つ目 5年前に家族で湯布院へ旅行した際、お宿にあった地元作家のギャラリーで出会いました。 模様が可愛いな、と一目で心が動きました。 それからずっとお気に入りでずいぶん使い込んでいますが、最初からこのような深い色なんです。 作家もの、とくに土ものは、手触りや釉薬ののり方に温もりがあります。 それぞれの器の「景色」を、ずっと眺めているのがすごく好きなんです。 次のざらっとしたテクスチャーのカップは「ぼうかい窯」髙野友美さんの作品、岩国の作家さんです。 *画像左から2つ目 何とも言えない微妙な色でしょう?  黄色、緑、鈍色…焼いたときの釉薬の色の出具合が一つとして同じものがないそうです。 それがおもしろいのです。 マットでざらっとしてるのに底光りするような光の回り方、手にしっとりと馴染む触感。 深煎りコーヒーにぴったりのカップで、よく秋冬に登場します。

 

濃いキャラメル色のものは下関の雑貨屋さんで見つけた、熊本の「まゆみ窯」真弓亮司さんのフリーカップです。 *画像左から一つ目 色とツヤ感がとてもお気に入りです。 この子は気軽にポンと使っています。 コーヒーだけでなくお茶でも使いますし、スイーツなどにもぴったり。万能選手です。 最近いちばんはまっているのが、白のシモヤユミコさんのカップです。 *画像右 ただの白ではない、黄色やグレーが織りなす微妙な景色のグラデーション。そして触ると手にしっとりと馴染む。 色も肌触りもなにか優しい気持ちになれるカップで、「柔らかい気持ちでほぐしたいな」というときに自然と手に取っています。 中煎りや浅煎りのコーヒーをこのカップにいれると、コーヒーがすごくキラキラしてきれいなんです。 カップの中まで光が回って、透明感が出るんですね。

 

シモヤユミコさんとの出会いは、下関のお花屋さんの花器でした。 あまりに素敵な花器だったのでお店の方にお名前を教えていただき、インスタグラムでフォローしてファンになりました。 大阪での個展にコロナ禍で行けなくて…でも諦めきれず、ダイレクトメールをご本人に送り作品をお願いしました。作家さん自ら選んで送ってくださる作品には、ことさら造り手の想いを感じました。 私のカップとの出会いは、ほぼ直感です。 ブランドや値段ではなく自分が「あ!いいな」と思ったものです。 一目惚れした作家ものはお値段が気軽ではありませんが、いつまでも飽きが来ず、長く付き合っていく愉しさがあります。 それが心地良くて、作家さんの世界観をきちんと表現している個展や作品展へ伺って、すてきな出会いがあるのを楽しみにしています。 一輪挿しもこのカップと一緒に買ったシモヤさんの作品です。 お花は、今私が大好きなもののひとつ。コーヒーと同様、プライベートでもお花なしの生活は考えられないほどです(笑)。

 

実は、新下関店のお花やグリーンのコーディネートは私が担当しています。 大好きな「コーヒーとお花」を仕事にできるのがとても幸せです。 そんな毎日で、大切にしているのは「ゆとり」を持っていよう、ということ。 例えば朝の時間は、少し早く起きて朝食やお弁当の準備をした後、家族が起きてくる時間にコーヒーミルのスイッチを入れます。 家全体に香りが広がり、大好きなカップにコーヒーをゆっくりおいしく淹れて、季節のお花をテーブルに生けます。 コーヒーがキラキラして、テンションが上がる幸せな時間です。

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今さら聞けないコーヒーのはなし
Vol.3 精製とは?

「コーヒーのことをもっと知りたい」そんな声にお応えすべく、コーヒーボーイの焙煎担当・金近が誰にでもわかるコーヒーのおはなしをお伝えするコーナーです。第三回目はコーヒー豆の精製方法のご紹介です。 僕たちが普段見ているコーヒー豆。 このツヤツヤした褐色の豆に出会うためには精製・焙煎という作業が必要です。 中でも精製は、方法の違いでコーヒーのフレーバーや香りを大きく変える役割を担っています。 【そもそも精製ってなんなのでしょう】 コーヒー豆はチェリーと呼ばれるコーヒーの実の種子の部分にあたります。 簡単にいうと実から種(コーヒー豆)を取り出す作業、これが精製と呼ばれる工程というわけです。 精製方法には、代表的なものに「ナチュラル製法」「ウォッシュド製法」があります。 ナチュラル製法: 収穫したチェリー(コーヒーの実)をそのまま天日で乾燥させてから一定期間寝かせ、乾いた果肉とパーチメント(内果皮)などを取り除く作業―脱穀―をして生豆を取り出す方法です。 自然乾燥式、アンウォッシュド、非水洗式と呼ばれることもあります。 コーヒーの自然の風味を強く残す精製法で一度飲めば記憶に残る風合いが特徴。 ブラジルやエチオピアなど雨が少ない地方に多く用いられています。 ウォッシュド製法: 現在最も多く採用されているウォッシュド製法は、収穫したチェリーを1度水洗し、果肉とミューシレージという粘液質な部位を取り除いてから乾燥させる方法です。 ナチュラル製法では乾燥に多くの時間を費やすことから、時間短縮のために考えられた製法です。 キレのあるクリーンな味わいが特徴。 主な採用国は中南米、カリブ海諸国、アジア、アフリカなどで、コーヒー生産国のおよそ7割がこの精製方法を用いていると言われます。

 

*画像は収穫されたコーヒーチェリー ナチュラル製法とウォッシュド製法の中間にあたる「セミウォッシュド(半水洗式)」と呼ばれる製法もあります。 マンデリンで有名なインドネシアのスマトラ島で生まれた「スマトラ式」と呼ばれる精製方法もその一つで、ウォッシュド同様チェリーの果肉を水洗いして取り除き、その後ミューシレージが残った状態で予備乾燥をして脱穀をし、最後に本乾燥をして仕上げる方法です。 乾燥の工程が2度に分かれているためそれぞれの乾燥時間が短くなる利点があり、チェリーの収穫期に雨が多い土地ならではの精製方法と言えるでしょう。 近年ではベーシックな製法を基にした新しいプロセスも生まれています。 その背景にはスペシャリティコーヒーの人気の高まりにつれてコーヒーのフレーバーに多様性が求められるようになったことが挙げられます。 中でもここ数年人気が高いのが「ハニー精法」です(ハニー製法自体は古くからある製法です)。 ミューシレージを完全に除去せずにチェリーの持つ甘味や果実感を豆に残す方法がハニー製法の特徴です。 甘さ成分が含まれるミューシレージの残す率を変えることで、バリエーションのある風味を作り出すことが可能になります。 「ハニーのバリエーション」 ■ブラックハニー / ミューシレージ残量50%以上・長期乾燥させる ■レッドハニー / ミューシレージ残量50%以上・短期乾燥させる ■イエローハニー / ミューシレージ残量25%以上50%未満 ■ホワイトハニー / 75%以上のミューシレージを除去 ハニーというからにはハチミツの風味?と想像してしまいがちですが、スペイン語のミューシレージ=Miel(ミエル)がハチミツと同じ綴りのためにHoney(ハニー)と呼ぶようになったそうです。

 

【勢いを増す新しい波】 精製の過程で新しい工程を追加するなど今までになかった加工方法も生まれています。 その代表格として、このところ一気に拡大してきた「嫌気発酵(けんきはっこう)」があります。 精製する過程でコーヒーチェリーを酸素が遮断された完全密閉のタンクに貯蔵し、発酵させる方法です。 嫌気発酵はワインの製造工程で用いられるなど以前からあった技術ですが、コーヒー豆の精製においては発酵の際に(コーヒーチェリーは自然乾燥でも発酵する)酸素を嫌う発酵酵母の活性を促すために取り入れられました。 嫌気発酵の最大の魅力は深みのある味わいを実現できることで、赤ワインやモルツ、フルーツ、スパイスなどを感じさせるボディ感のしっかりとしたコーヒー豆が出来上がります。 ナチュラル製法の嫌気発酵をアナエロビック、ウォッシュドではカーボニックマーセレーションとそれぞれ個別の名称で表されることもあります。 さらに、今一番新しく、ある意味で物議を醸しているのが「インフューズド」と呼ばれる加工方法です。 嫌気発酵から派生したもので、フルーツなどと一緒に無酸素状態のタンクにチェリーを入れ発酵させる方法です。 コーヒーだけでは表せないフルーツの香りや味わいが楽しめることで新しいコーヒー(フレーバーコーヒー)として取り上げられていますが、人工的な香料を混ぜる製造者も出てくるなど本来のコーヒー豆とは離れていくことも懸念されています。 【生産者の顔が見えるコーヒー豆】 コーヒー豆のラベルをよく見ると「モカ・イルガチェフェ・アナエロビック・ナチュラル」などと長い名称が付けられていることがあります。 これらはもちろん豆の名前なのですが、一つ一つを読み解くと品種や生産国・生産地、時には農園の名前、精製方法が記載されているのです。 近年、食品のトレーサビリティが言われていますが、コーヒー豆はまさにトレーサビリティの先駆けなのではないでしょうか。 育った環境や豆になる工程を想像させてくれる一粒のコーヒー豆。 今日の一杯は関わった人たちへと思いを馳せながら味わってみませんか?

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