今さら聞けないコーヒーのはなし
焙煎について(前編)

焙煎とは?

僕は元々コーヒーが大好きで自分なりにコーヒー周辺のことをかじってはいたのですが、 実際に焙煎を経験したのはコーヒーボーイに入社してからのことでした。 入社の翌年くらいから焙煎を任されるようになり、すぐに夢中になったことを覚えています。 当時コーヒーボーイの焙煎をしていた先代の社長に教えてもらいながら始まった焙煎の仕事も早25年近くになります。 面白いもので、コーヒーの知識が増せば増すほど焙煎の難しさと向き合うこととなり、 今でも時々失敗しながらも(苦笑)、コーヒーの奥深さを実感する毎日です。 そんな焙煎の奥深さ・面白さを皆さんにご案内できたらと思います。 【焙煎の役割とは?】 コーヒーの生豆は精製という作業によって出来上がることは前回お話した通りですが (精製に関しては前回の今さら聞けないコーヒーのはなしVol.3をご参照ください)、 生豆は熱を加えること(焙煎)で僕たちが日常的に飲んでいるコーヒーの味になります。 つまり焙煎とは、コーヒーの味を引き出す作業、生豆をコーヒー豆に発達させる工程のことを指します。 焙煎されたコーヒーが持つ味わいの成分は、なんと800種類以上もある(!)と言われていて、 まだまだその数は増えています(ワインではおよそ250種類)。 コーヒーの膨大な数の味わいの違いは、焙煎の工程が担っていると言っても過言ではありません。   味わいは5味と呼ばれる5つのカテゴリーに分類されています。 「甘み」「酸味」「苦味」「香り」「まろやかさ(質感・マウスフィール)」が複雑に絡み合うことで、 コーヒーのおいしさにつながっていきます。 豆ごとの特徴を理解しながらこれら5つの味わいを焙煎の度合いによってバランスよく整え・引き出していくこと、それが焙煎の役割なんです。

 

【焙煎の第一歩はローストデザインをするところから】 焙煎は、まずそれぞれのコーヒーの銘柄によってどういったコーヒーにするかという目標を決めるところから始まります。 具体的には、引き出したい味を決めてそこから焙煎時間や加える熱量を割り出していく、 この一連の流れをローストデザインと呼びます。 コーヒー豆は銘柄によって向いている焙煎度合いがあるのですが、 その中で店ごとの「らしさ」をどう加えていくかが、焙煎士の腕の見せ所になります。 コーヒーボーイで言えば、『山口の甘いコーヒー』に仕上げていくのが僕の大きな役割です。 仕入れたコーヒー豆には通常 味の傾向や適した焙煎度合いなどを記した鑑定書がついてくるので、それをベースにすることももちろんありますが、 味わいの傾向がレモンやライムなど酸味が強いものであれば焙煎時間を長くして酸味をなくしていく(コーヒーボーイでは甘みを大切にしているので)、といった具合に微調整をすることが重要なのです。 初めましての豆や久しぶりに扱う豆の場合には、必ず2〜3回テストローストをしてコーヒーボーイの味に仕上げていくようにしています。 【焙煎度合いで味を微調整】 皆さんもコーヒー豆販売店やカフェなどで「浅煎り」や「深煎り」という言葉を見聞きしたことがあると思います。 言葉の通り、「浅煎り」は短い時間で浅くローストした豆のことで、 「深煎り」はその反対、じっくりと長い時間をかけてローストした豆のことを指します。 その間や前後にも数多くの焙煎度合いがあるのですが、 コーヒーボーイでは焙煎の度合いをライトローストからイタリアンローストまでの10段階に分けています。 僕たちが皆さんに提供している豆には、銘柄名や豆の種類の他にプロダクトナンバーと名付けている3桁の数字も提示されています(2桁目が焙煎の度合い)。 細かな焙煎度合いを知ることで、コーヒーの味の傾向が見えてきてより自分の好みに合った豆を探す手助けにもなりますし、新しい味へのチャレンジの目安にもなるのではないでしょうか。 *プロダクトナンバーの詳細はこちらのページをご覧ください。 最初にお話したように、コーヒーの味わい「五味」をバランスよく整えることが焙煎の大きな役割です。 豆の種類にもよりますが、焙煎された豆は最初に酸味や香りが立ち上がり(浅煎りの状態)、 次に甘味が乗り(中煎り)さらに焙煎を進めると徐々に苦味や重みのある質感が引き立っていきます(深煎りの状態)。 酸味は中煎り程度までは残っていますが、それ以上になると少しずつ抑えられていきます。 また、甘味も深煎りになるとほぼ残っていません。 時々お客さまからコーヒー初心者は浅煎り、ステップアップしてコーヒーに慣れてくると深煎りがいい?といった質問をされることがあるのですが、 焙煎度合いはあくまでも味の傾向の目安なので、酸味のあるコーヒーがお好みなら浅煎りを、苦味を求めるなら深煎りを選ぶことをおすすめしています。 コーヒーの味わいは焙煎の度合いだけではなくどんな焙煎機を使用しているのかによっても左右されます。 次回後編ではコーヒーボーイの焙煎機のご紹介や、僕が焙煎で大切にしていることなどを引き続きお話ししていきたいと思います。 お楽しみに! *後編は9月号(8月23日配信)の予定です。

今さら聞けないコーヒーのはなし

今さら聞けないコーヒーのはなし
コーヒーのトレンドと文化(後編)

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コーヒーのトレンドと文化(前編)

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焙煎について(後編)

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