【ドリップで淹れる】アイスコーヒーの作り方 ① -マンデリン :コク編
最終更新日: 2024/06/05
ドリップ アイスコーヒーは、湿度の高い夏にキリッとした清涼感を運んでくれる、日本の風土ならではのコーヒー文化と言えます。
すでに完成されたこのコーヒーに新しいアレンジを加えるなら、冷たいながらも香りが引き立つ抽出法への試みではないでしょうか。
この記事では、温かいコーヒーと同様のコクや香りにこだわった、競技会レベルといえるアイスコーヒーのレシピを紹介します。
ドリップをする豆はどなたでも入手が容易なインドネシア産マンデリンです。
ドリップに使う豆は、
ウェブ上でも、コーヒー豆専門店でも
入手が容易なストレートコーヒー豆です。
中でも深煎りの代表、マンデリンを使用します。
監修は'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長。
おいしいドリップコーヒーへの第一歩は、豆の量や挽き方、お湯の量や温度を意識する事から始まります。
計量器を用意する事が望ましいですが、用意できない方への対処法も記事内では解説しています。
このレシピで、あなたがハンドドリップの入り口に立てることを願っています。光店店長 守本雅美
さあ、豊かな香りとコクのアイスコーヒーを淹れましょう!
目次
1. アイスコーヒーに適した
豆の特性とマンデリンについて
2. 『アイスコーヒーの作り方-コク編 レシピMAP』
3. 用意する豆の量、氷とお湯の量。
豆の挽き方、お湯の温度について
4. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
第1投 / 蒸らし
5. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
第2-5投 / 味形成と濃度調整
6. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
サーブとカフェオレ
7. バリスタからのメッセージとまとめ
1. アイスコーヒーに適した
豆の特性とマンデリンについて
このアイスコーヒーの作り方シリーズでは、
シティ ロースト、フルシティ ロースト、フレンチ ローストを適性焙煎域としています。
今回使用するマンデリンは、フレンチ ローストです。(香りにこだわるため極深イタリアンローストは除きます。)
深煎り豆の特性は、水分の含有量が低く、とても軟らか(もろい)です。
手動式のミルで挽くと、カリカリと音もせずミルを回す力もあまり必要としません。
これは、ドリップを始めた時に粉が一気にお湯を吸収してしまう性質を表しています。
豆の挽き方とお湯の温度に注意をしながら、抽出をしていきます。
「マンデリン ロースト8」の5味マップとフレーバー/酸について
マンデリンが世界のダークローストファンを魅了する理由は、スマトラ式という精製方法にあります。
高温多湿の気候に合わせた乾燥方法で、深煎りしたときに独特の味わいを見せます。
COFFEEBOYの『マンデリン ロースト8』、つまり8番目の焙煎=フレンチローストまで焼き進めることで
口に含んだときの重厚感とタラゴンのようなスパイシーさが生まれます。
今回は温かいマンデリンと同様の香りや味わいを引き出すために考えられたレシピです。
焙煎室から。マンデリン・ロースト8についてお話しします。
●フレンチ ロースト ●酸味 1 / ●甘味 3 / ●苦味 5
2. 『アイスコーヒーの作り方-コク編 レシピMAP』
これから解説する『アイスコーヒー の作り方-コク編 のレシピ MAP』です。
ブックマークをしてご利用ください。
レシピの特徴は、
・全湯量を5等分にして注ぎます
・注ぎ方は、ドリッパーの際(きわ)5mmまでの大きめサークル プア
・雑味が出てくる前に落とし切ります
・抽出したコーヒーをサーバー内の氷で急冷します
→ 抽出の過程で、順序よく現れる味わいを(多少の雑味も含めて)満遍なく抽出する戦略です。
→ 4、5投で湯温を下げ、苦味をカット。まろやかさを出します。
3. 用意する豆の量、氷とお湯の量。
豆の挽き方、お湯の温度について
このレシピでは、およそ200mlのコーヒーを抽出します。
(これはサーバー内の氷が溶けた時のコーヒー量です。グラスに入れる氷は分量外。)
この章では豆や氷、お湯の量、豆の挽き方やお湯の温度について解説します。
豆の量、仕上りのコーヒー量、氷と湯量について
200mlのアイスコーヒーを抽出するための材料は以下の通りです。
・豆の量 25g
・仕上がり量 200ml(g)
・氷 110g
・お湯の量 150ml(g)
材料比は、
・豆の量 : 仕上がり量 : 氷 : お湯の量 = 1.25 : 10 : 5.5 : 7.5
になります。
◉一口メモ 覚えておいてください 1 : 10 : 13の法則◉
突然の来客にコーヒー豆の量を迷われたことはありませんか?
ホットコーヒーでもアイスコーヒーでも、この法則を覚えておけば安心です。
豆の量 : 仕上がりコーヒー量 : 注ぐお湯の量は、いつも 1 : 10 : 13が基本です。
◉今回のレシピでは、コクと香りにこだわる理由から
・豆の量を20gから25gに
・比率を1.25:10:13
にアレンジしました。
※お湯の13を氷 5.5、お湯7.5に分けて抽出します。
Q. カップ数が増える時、豆の量はどのくらい増やせば良いのでしょうか。
A. ドリップコーヒーは、注いだお湯がコーヒー粉を通過する時に抽出される透過式です。茶葉などをお湯に浸す煎れ方とは異なります。コーヒー粉を人数分だけ掛け算する事で、美味しいコーヒーを淹れることができます。
豆の挽き方とお湯の温度について
豆の挽き方
・中挽き(画像を参照)
・ナイスカットミルをお持ちの方は、2.5に設定してください。
お湯の温度
・1-3投 92℃
高めの温度で香りを引き立てます。
・4-5投 85℃
湯温を下げ、最後に現れる苦味を抑えてまろやかさを出します。
湯温計をお持ちなら正確に測ってください。
湯温計が用意できない時は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)
・その過程で湯温はおよそ90℃前後になります。
・85℃に下げる時は、小さい氷キューブを1つケトルに入れて調整します。
Q. なぜ、中挽きなのでしょうか?
A. 挽き目を細かくするとコーヒー粉にお湯が早く浸透し、抽出時間が短くなります。思い通りのコーヒーを淹れるためには、ある程度の時間が必要です。中挽きにする事で時間と味をコントロールしやすくなります。またこのレシピでは抽出効率をあげるため、一段細かい挽き目をおすすめしています。調整可能なミルをお持ちなら試してみてください。
4. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
第1投 / 蒸らし
この章では、ペーパーフィルターと氷をセットして、
第1投、蒸らしまでを解説します。
ペーパーフィルターをセットして、氷をサーバーへ入れます。
豆と氷、お湯が用意できたら、ドリップの準備をします。
・ペーパーフィルターをセットして、お湯を回しかけましょう。
・香りを引き出すためにはドリッパーの温度を下げないことが大切です。
・氷を110gサーバーへ入れましょう。
Q : 蒸らしの前にペーパーフィルターを濡らした方が良いのでしょうか?
A. クラフト色の みさらしフィルターはリンス(濡らす)をお勧めします。匂いの除去がされていない場合があります。漂白済の白いフィルターは、リンスしなくても味には影響はありませんが、私はリンスをする派です。
詳しくは >> 浅煎りスペシャルティコーヒーの淹れ方をどうぞ
1投目 : 蒸らし。お湯の量と注ぐ時間。
さあ、ドリップのスタートです。
第1投は「蒸らし」。
最初にドリッパーをトントンと叩いてフィルター内のコーヒー粉を平らにします。
そして、お湯をコーヒー粉全体に満遍なく注ぎます。
画像(2段目)のようにコーヒー粉が膨らみ、抽出の準備を始めます。
蒸らしの湯量は30ml(30 g)です。
スケール(計量器)を用意できる時は、
・サーバーにフィルターをセット、コーヒー粉を入れた状態で0gにセットしましょう。
・蒸らしのお湯を30ml(30g)ドリップしてください。
スケールを用意できない時は、
・サーバーに滴がしたたるまで注ぎましょう。
最終的にサーバーの底に薄くコーヒー液が溜まる状態になります。
蒸らしの全工程は、40秒です。(注ぐ時間=約10秒 蒸らし=30秒が目安です。)
5. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
第2-5投 / 味形成と濃度調整
この章では、主なコーヒー成分を抽出する第2、3投と、
濃度調整の第4、5投を解説します。
2、3投目 : 味形成。大きめのサークル プアで注ぎます。
第2、3投は「味の形成」です。主なコーヒー成分を抽出します。
●2投目
蒸らしで膨らんだコーヒー粉の頂点に、細く調節したお湯をドリップしましょう。
その後円を描くようにケトルを回しながらドリッパーの際(きわ)およそ5mmまで注いでください。
次に外側から中心に、そして中心から外側に。2-3度往復しましょう。
ここでコーヒーの主な成分を出すつもりで、テンポよくドリップします。
スケール(計量器)を用意できる時は、
・ 30ml(30g)をおよそ13秒間で注ぎます。
スケールを用意できない時は、
・目分量でケトル内のお湯1/4を注いでください。
注ぎおわったら、コーヒーがサーバーへが落ち切るのを待ちましょう。
2投目の工程はおよそ30秒です。(注ぐ時間=13秒 待ち時間=17秒)
●3投目
同じく味形成です。2投目と同じ範囲を同じ方法でドリップしてください。同じく30mlを30秒で注ぎます。
◉ハンドドリップのよくある質問◉
Q.
このレシピでは、なぜ500円玉大のドリップではないのでしょうか。
A.
アイスコーヒーを作る時は、抽出したコーヒー液を冷却するために、必ず氷を加える(薄める)必要があります。
そのためドリップの工程で、できる限り凝縮されたコーヒー液を抽出しなければなりません。
適切な味のバランス(豆とお湯の量)を保ちながら濃いコーヒーを淹れるには、
・ドリッパー内で、お湯がコーヒー粉と触れる表面積が大きく、そして時間が長い
ことが大切です。
注ぐお湯の円(プア サークルと言います)をドリッパーの際(きわ)5mmまで広げるのは、その理由です。
紅茶のティーバッグを上下に振るような効果が生まれ、抽出効率が上がります。
ドリップする円の大きさはいつも500円玉大ではなく、抽出したい味わいによって変えられる事を覚えてください。
Q. ハンドドリップ のよくある質問_落ち切りについて。
A. ドリッパー内のコーヒーを落とし切るか、ドリッパーを引き上げるかは、よくいただく質問です。答えは、抽出に掛かる時間で判断をします。ドリップを始めると、酸味、甘み、苦味、雑味の順番で成分が抽出されていきます。嫌な苦味が抽出される時間までにコーヒーを落とし切る事が正解です。落とし切れない時は、ドリッパーを引き上げてください。
4、5投目 : 濃度調整。注ぐ円の大きさで濃度を調整します。
第4、5投は、苦味を抑えながらまろやかさを抽出します。
また、好みの濃度に調整します。
●4投目
湯温を85℃に下げて2、3投と同じく30mlを30秒で注ぎます。
※湯温計を用意できない時は、小さい氷キューブを一つケトルに入れてください。
●5投目
湯温を85℃に下げて2、3、4投と同じく30mlを30秒で注ぎます。
◉濃度調整について◉
<濃度を上げたい時>
・このレシピは、可能な限り濃く抽出する工程を記しています。
さらに濃くしたい時には、サーバーの氷の量を減らしてみてください。
<濃度を下げたい時>
・4、5投目の注ぐ円(プア サークル)を小さくしてください。円を小さくする程、抽出効率が下がります。
・最小は、ケトルを回さず中心のみに細いお湯を注ぎます。このドリップをセンター プアと言います。
5投目が落ち切れば、コーヒードリップの完成です!
Q. よくある質問_センター プアはどんな時に使うのでしょうか。
A. センター プアは、⚫︎濃度をこれ以上、上げたくない時 ⚫︎ドリップする速度を上げたい時に使います。
※ 下記の動画を参考にしてください。
詳しくは>>【浅煎り】スペシャルティコーヒーの淹れ方
6. アイスコーヒーの作り方-コク編 :
サーブとカフェオレ
さあ、香り高いアイスコーヒーができ上がりました。
この章ではサーブ(提供)の方法と、アイス カフェオレの作り方を解説します。
しっかり撹拌、氷片を除き、コーヒーを注ぎましょう。
さあ、美味しいアイスコーヒーが出来上がりました。
ドリップしたコーヒーを、きれいにサーブしましょう。
1. マドラーなどで撹拌(混ぜる)して氷を溶かし、残った氷片を除きます
2. グラスにお好みの量の氷を入れて
3. コーヒーを注ぎます
4..コースターを使ってきれいにサーブしてください
アイス カフェオレの作り方
アイス カフェオレを作ってみましょう。
・グラスに氷を入れて、ミルクを用意します
・ミルクとコーヒーの比率は 1 : 2
・コーヒーを静かに注ぐと、マーブル状の素敵な模様が浮かびます
7. バリスタからのメッセージとまとめ
【ドリップで淹れる 】アイスコーヒーの作り方- コク編は、いかがでしたか?
ハンドドリップは、コーヒーの世界を広げてくれます。光店守本店長
アイスコーヒーの作り方- コク編のレシピは、いかがでしたか。
レシピのポイントは、
・注ぐお湯を分散させて、時間差で現れる味わいを満遍なく抽出していく
・ドリッパー内のコーヒー粉を動かして、抽出効率を上げる
・高い湯温で香りを引き立てて、4-5投目はまろやかさを出す
の3点です。
ハンドドリップは、
・コーヒー豆の量/挽き目
・お湯の温度/量
・注ぎ方/時間
この6つの要素をパズルのように組み合わせることで、
自分がイメージするコーヒーと巡り合える喜びがあります。
コーヒーはとてもパーソナルな飲み物だと
私は思います。
様々なハンドドリップを経験して、
ぜひ、あなた の、コーヒーと出逢ってください。
守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位
*日本スペシャルティコーヒー協会_過去の競技結果
コーヒーの世界を広げましょう。
●の、コーヒーを探しましょう。
●ハンドドリップを始める方へ。基本の抽出法。
●ハンドドリップをもっと学びたい方へ。
*光店 守本店長のページはこちら
『アイスコーヒーの作り方-コク編 レシピMAP』再掲
アイスコーヒーの作り方 ① - コク編
○仕上がりのコーヒー量 | -200ml |
○コーヒー粉 | -25g / 中挽き / ナイスカットミル 2.5 |
○氷の量と注ぐ湯量/湯温 | -110g(氷)湯量150ml / 92℃(1-3投) 85℃(4-5投) |
○仕上がるまでの時間 | -およそ2分40秒 |
●1投目 【 蒸らし 】 | |
注ぐ湯量 | -30ml |
時間 | -40秒(注ぐ時間=およそ10秒+蒸らし=30秒) |
スケールがない場合 | -サーバーへ滴が垂れるまで注ぐ |
●2投目/3投目 【 味形成 】 | |
注ぐ湯量 | -各30ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -ペーパーフィルターの際5mmまで |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ13秒/落ちきり およそ17秒) |
スケールがない場合 | -目分量でケトル内のお湯を1/4づつ注ぐ |
●4投目 / 5投目 【 濃度調整 】 | |
注ぐ湯量 | -各30ml |
注ぐ範囲/プア・サークル | -ペーパーフィルターの際5mmまで またはセンター・プア(中心部のみ) |
時間 | -30秒(注ぐ時間=およそ13秒/落ちきり およそ17秒) |
スケールがない場合 | -目分量でケトル内のお湯を1/2づつ注ぐ |